増税、喫煙所の閉鎖、受動喫煙対策の強化……。近年、喫煙者を取り巻く環境はますます厳しくなっています。しかし、その一方でこんな疑問を抱いたことはないでしょうか?「本当にタバコが体に悪いというのなら、なぜ国は販売自体を禁止しないのか?」「どうして海外の多くの国のように、パッケージに強烈な警告画像を載せないのか?」
その答えは、日本の法律と、国とJT(日本たばこ産業)が結ぶ「異常な関係」に隠されています。
1. 「たばこ産業の発展」を目指す法律がある!
まず、日本には「たばこ事業法」という法律が存在します。この法律の目的を定めた第一条を読むと、現代の常識からは考えられない一文に愕然とします。
「……たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的な確保……に資することを目的とする。」
世界保健機関(WHO)をはじめ、世界中が「タバコは健康を害する」という認識のもとで規制を強化しているこの時代に、日本の法律は堂々と「たばこ産業の健全な発展」を目的として掲げているのです。これは、国が**「もっとタバコ産業を発展させよう! ガンガン売って税金を確保しよう!」**と高らかに宣言しているに等しいと言えます。国民の健康を守るべき国が、その健康を損なう可能性のある商品の産業発展を法律で後押ししている――この根本的な矛盾こそが、日本のタバコ行政が抱える最初のボタンの掛け違いなのです。
2. 国がJTの大株主という「利益相反」の構造
では、なぜこのような時代錯誤な法律が今も残り続けているのでしょうか。その最大の原因は、国(特に財務省)がJTの「筆頭株主」であり、その「親密すぎる関係」にあるのです。
日本政府はJTの発行済株式の約3分の1を保有しています。つまり、国にとってJTは、莫大な配当金をもたらしてくれる**「身内」であり「ドル箱」**なのです。ここに、とんでもない「利益相反」が生まれます。
国民の健康を願う立場と、企業の利益を願う立場。この二つが同じ「政府」という組織の中で衝突したとき、悲しいかな、日本では後者の財務省の意向が優先されてしまいます。国民の健康よりも、株主としての自らの利益を優先するこの構造は、「癒着」以外の何物でもありません。
3. 世界から遅れる「タバコ後進国」ニッポン
こうした構造的な問題を抱える結果、日本のタバコ規制は世界から大きく遅れをとっています。例えば、カナダではタバコ一本一本に警告文が印刷され、オーストラリアではパッケージを魅力のない単色(ドブ色)に統一し、ブランドロゴさえも目立たなくする「プレーンパッケージ」が導入されています。彼らがそこまでするのは、国が本気で国民の健康を守るという強い意志を持っているからです。
一方で、日本の対策はどうでしょうか。パッケージの警告表示面積を少し広げる程度で、おしゃれなデザインは温存されたままです。なぜなら、JTの株主である国が、「産業の発展」を著しく阻害するような厳しい規制を許可するはずがないからです。この癒着構造を放置したまま、「国民の健康のために増税します」と繰り返されても、それはあまりに白々しい言い訳にしか聞こえません。そもそも、喫煙が原因で増大する医療費や、病気による労働力損失といった経済的損失は、たばこ税収をはるかに上回るという試算もあるのです。
税金の話の前に、まず癒着を断ち切れ!

国自身が「タバコ屋のオーナー」であり続ける限り、日本で本当の意味での国民の健康を考えたタバコ対策が進むはずがありません。議論すべきは、税率の前にまずこの根本的な構造です。解決策は明確です。
「税金」の話をする前に、この「癒着」をなんとかしろ!
