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楽に生きる:過去はあなたを縛れない:アドラー心理学が教える「目的論」という劇薬

過去はあなたを縛れない:アドラー心理学が教える「目的論」という劇薬

「昔、いじめられたから、人が怖い」 「親が厳しかったから、自分に自信が持てない」 「もっと良い環境に生まれていれば、成功できたのに」

私たちは、現在の生きづらさや不満を、過去の出来事や環境のせいにしてしまいがちです。ある「原因」が、今の「結果」を生み出しているという考え方、いわゆる「原因論」は、ごく自然なものに思えます。

しかし、心理学の三大巨匠の一人、アルフレッド・アドラーはこの常識に真っ向から異を唱えました。彼の心理学は、時に「劇薬」と称されるほど、私たちの思い込みを根底から覆す力を持っています。しかし、その厳しさの裏には、「人間はいつからでも、どんな状況からでも変われる」という、人類への最大級の信頼と励ましが隠されています。これから、その挑戦的な視点をご紹介します。

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1. 衝撃の事実:「トラウマは存在しない」とアドラーは断言する

アドラー心理学の最も挑発的な主張は、この一言に集約されます。

「トラウマなど存在しない」

アドラーによれば、過去の出来事が現在の私たちを決定するのではありません。そうではなく、現在の私たちが、ある「目的」を達成するために、過去の出来事を道具として利用しているのだと彼は説きます。

この考え方の違いを、引きこもりの男性の例を通して「原因論」とアドラーの「目的論」で比較してみましょう。

  • 原因論フロイト的): 「過去にいじめられた(原因)」から、「外に出られない(結果)」。この考え方では、過去が原因であるため、本人は被害者であり、解決は難しいという結論に至ります。
  • 目的論(アドラー的): 「外に出たくない(目的)」から、「不安や恐怖という感情を作り出している(手段)」。例えば、「外に出てまた傷つくのが怖いから」、あるいは「親に心配してほしいから」といった目的を先に決め、その「外に出ない」という目的を達成する手段として、過去のいじめの記憶を引っ張り出していると考えます。

一見すると厳しい見方ですが、ここには「過去がどうであれ、今のあなたの行動はあなた自身が選んでいる」という、究極の自己決定を肯定する力強いメッセージが込められています。

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2. なぜ人は変われないのか?:アドラーの答えは「あなたが"変わらない"と決心しているから」

アドラーは、人が変われないのは能力がないからではなく、「変わらないという決心」をし続けているからだと主張します。

では、なぜ人は不幸な状態に留まるという決心をするのでしょうか。それは、不満な現状維持にも、本人にとっての「メリット」があるからです。

  • 変化にはリスクが伴う: 新しい自分に変わるには大きなエネルギーが必要であり、失敗するかもしれない、誰かに嫌われるかもしれないという未知のリスクが伴います。
  • 現状維持の安心感: 今の自分に不満があったとしても、それは慣れ親しんだ状態です。未知の世界へ飛び込むよりも、今のままでいる方が「楽」で「安心」なのです。
  • 「被害者」でいることのメリット: 親や環境のせいにしておけば、「自分が悪いわけではない」という立場を守ることができ、変わるべき責任から逃れられます。

これらの点を踏まえ、アドラーは、私たちは無意識のうちに不幸な状態を選び取っていると指摘します。私たちに欠けているのは能力ではなく、現状を手放して新しい一歩を踏み出す**「幸せになる勇気」**なのです。

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3. あなたが脚本家:過去の意味は「今」のあなたが決める

アドラー心理学のメッセージは、こうした複雑な悩みを一刀両断にします。彼の考えによれば、過去の出来事そのものには意味がありません。重要なのは、その出来事に**『意味』**を与える、今のあなた自身です。

例えば、過去のいじめ体験を例にとってみましょう。

  • 「いじめられたから、私は今も人が怖い」と意味づけることもできます。
  • 「いじめられたから、私は人の痛みがわかる人間になれた」と意味づけることもできます。

どちらの意味を選ぶかは、他の誰でもない、今のあなたに委ねられています。あなたの人生の物語に対する「編集権」は、常に現在のあなたが握っているのです。

アドラーはこの考えを「性格」にも適用し、それを変えられないものではなく、いつでも自分の意志で書き換え可能な「ライフスタイル」と呼びました。あなたが「今日から変わる」と決めた瞬間、過去はあなたの足を引っ張る重石ではなく、単なる「資料」に変わります。

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 必要なのは「能力」ではなく「勇気」

もし今、あなたが生きづらさを感じているとしても、それはあなたの能力が低いからでも、過去が不幸だったからでもありません。ただ、幸せになるための一歩を踏み出す「勇気」がくじかれているだけなのです。

過去の原因を探し、自分を正当化するのはもうやめにしましょう。問うべきは「どうしてこうなったのか?」ではありません。あなたが自らに問うべきは、**「これからどうしたいのか?」**です。

「誰でも、今日この瞬間から幸せになれる」

あなたの人生を決めるのは、昨日のあなたではありません。今、この瞬間にいるあなた自身なのです。